カテゴリ:創作・告白( 3 )

皆様、真夜中にこんばんは。

前の記事のレスおわりました。ごめんね。遅くなりまして・・・

実は8月はじめに某サイトで読んだジウン監督のつぶやき・・・
爆笑しながら瞬時に湧いたストーリー・・・
書き始めは8/11頃のようです・・・



告白(2008年8月11日)


キム・ジウンはもう三時間もパソコンの画面をみつめ、少し書いては消し、天井をみつめてはため息をつく。
決意したかのように10行ほどタイピングすると、ふとそれを止めて画面を見る。
そしてもう一回大きくため息をつくと 椅子を思い切りリクライニングしてまた天井をみつめた。

(だめだ・・・)
(どう切り出せば自然なんだ?)
(ちっくしょう!シナリオ書いてる方がよっぽど楽だよ・・・)

頭の下で両腕を組んでジウンは考える。

(メールするのよすか・・・)
(だよな・・・その方が俺たちのためだ。)
(あいつとはこれからだって長くつきあって行かなきゃなんだし・・・)

そう考えると上半身を起こし、デスクの上においてあるタバコを手にした。
ライターを右手に持ちながら更にジウンは考える。

(でも、このまんまじゃ、俺の気持ちはどうなる?)

タバコに火をつけながら彼は更に考える。

(やっぱり メールはやめた)
(電話にしよう。そうだ。電話がいい!)

パソコンの隣に置かれた携帯を取る。
スライドさせてアドレス帳の中のきれいに分けられたホルダーの一番上。

「B」と名づけられたそのホルダーを開いて じっとそのまま携帯をみつめる。

(ぷっ!まるでヒスの目の前のソヌかよ!)

キーを押すか押すまいか逡巡しているうちに彼は自分がひどくこっけいに思えて苦笑した。

(やめた!)
(迷うのはやめた!)
(あたってくだけろ!)
(とりあえず行っとけ!)

内心はドキドキしながら彼は親指でENTERを押す。
2回・・・3回・・・4回・・・呼び出し音はジウンの決意を段々鈍らせる。

(仕事か?)
(いや、確か今日は・・・)

今 呼び出している相手のスケジュールを把握している自分がやけに笑える。
7回ほど呼び出し音が続くとジウンは耐えられなくなって携帯を閉じようとした。
その時だった。

「あ?あれ? ピョホナ(pyohona)!いたのか!」

「おいおい、いるんなら出ろよ!」

「え?寝てた?おいおい、まだ10時だぜ? お子様か!お前は!」

「ははは・・・そうか・・・ふーん・・・はぁ・・・」

「え?用事?あ、ああ・・・そうそう」

「いや、特に用事は・・・あ、いやいや、用事はあるんだよ。」

「ともかくノムが活況で、お前のチャンイが予想外に大人気で・・・」

「ぷっ!怒るなよ。HONEYって呼ばれてまんざらでもないんだろう?」

「10代だよ。10代!お前、キケンだよ。法律犯すなよ!」

「ははは・・・冗談だよ。ガキだよ。そうそう。」

「え?でも、みんなお前のチャンイのあの裸に参ったみたいだな」

「照れることないだろう?鑑賞に堪えられる体作ったんだから」

「おい。今度の舞台挨拶、多分650万のペイラインか、700万か、その辺だろうけど
裸で出たらどうだ?少女達、絶叫するぜ~?」

「ぶはっ!!失神者続出!!そう!!それそれ!!」

「なんだよ、お前 けっこう喜んでるんじゃン」

「・・・ああ、・・・うん。そう。そう。けっこうあの体作るのきついの俺だって十分わかってるって。」

「何~?Sだと?俺がか? ・・・確かにな。撮影中は一切妥協できないからな。ま、そんなことくらい今に始まったことじゃないんだから今更いうなよ。」

「ええええ?もう 一緒に組みたくない???おいおい・・・冗談だろ?」

「俺に感謝しなくてどうする!」

「カムサハムニダって、俺に会うたびに言わなきゃいかんよ!」

「ははは!笑える!!今 言うなよ!それを!」

「ははは・・・はは・・・え・・・と。」

「ん・・・・」

「え?あ?もう寝るか?あ、そうか・・・」

「え?変?今日の俺、変か?そうか?」

「ちょ、ちょっと待て。じゃ、じゃあ本題だ。」

「うるさいな。茶化すな!」

「あの・・・あのな・・・お前、一週間くらい時間取れないか?」

「・・・うん、9月のはじめ頃。アイリスの撮影、たしかもっと後だろう?」
「え?どこへ行くかって?うん、フランス。そう、俺の仕事がらみ。」

「ははは・・・いいよ。ついでにイタリアに足伸ばせばいいじゃないか。」

「サグラダファミリア?え?スペインか?ああ・・・行こうと思えば行けるかもな」

「ああ、肝心の仕事はほんの一日くらいで終わるんだよ。だからあとはバカンスって思って」

「ああ、わかってるよ。おごりだよ。俺の。慰労だよ。パクチャンイの。ったく、お前は
ずうずうしい」

「それで・・・お前、Okなのか?スケジュール?」

「え?大丈夫か?ほんとかよ・・・ほんとか・・・」

「な、何言ってんだ、そんなにジジくさくしみじみ言ったか、俺」

「ともかく、よかった・・・ええと・・・それでな・・・」

「うん?えええ?チャールズの都合が悪い?」

「おい・・・ピョホナ!・・・」

「ピョホナ!」

「おい、ふざけるな。ちゃんと話聞け!」

「あのな・・・」

「うん・・・ええっと・・・」

「わ、わかったよ。言うよ。」

「ええっと・・・」

「ぴょほな・・・今回はチャールズは来てもらう必要ない」

「わかってるよ!俺がみんなブッキングするよ!お前、そういうのいつもやってないから面倒なんだろ?!わかってるって!」
「・・・そう、チャールズは要らないんだ。今回の旅は・・・」

「え?マジになってるって?」

「ははは・・・そうか?」

「あのな、ピョホナ・・・今回は二人で旅に出たいんだよ」

「・・・おい、急に黙るなよ。大丈夫だから、って何が大丈夫なんだか」

「いや、ふざけちゃいけないな・・・」

「あのな・・・映画の慰労ってのはまぁ口実なんだ。」

「・・・」

「・・・」

「ピョホナ・・・」

「俺はお前に特別な感情を持ってる(나는 너한테 특별한 감정을 가지고 있어)」

「男として・・・だ」

「・・・」

「おい・・・お願いだから黙らないでくれ」

「茶化したっていいんだぞ」

「いや、茶化されちゃ困るな・・・」

「気持ち悪いか?」

「もう随分前からなんだ」

「何日か、お前と二人っきりで過ごしたいと思ってた。ああ・・・もちろん韓国じゃ無理だ」

「まぁ9月の最初にフランスの俺の映画の打ち合わせがあって、ちょうどお前もアイリスの撮影に入る前で。もう、その時しかないと思ってたんだ」

「ピョホナ・・・何考えてるんだ?ずっと黙られても困るんだよ・・・」
「・・・」

「迷惑・・・だったか?」

「・・・」

ジウンは電話の相手がずっと黙っているのに耐えることが限界に近づいた。
ふっと笑うと、肩を上下させた。

「ピョホナ、悪かった・・・悪かったな。突然こんな告白されても困るよな・・・」

「聴かなかったことにしてくれ。何も聴かなかったその前に戻れば・・・」

「え?」

「え・・・わかってた?お前・・・わかってたのか?」

「わかってたか・・・はは・・・バレバレだったか・・・」

「そうか・・・ああ、もちろんいいよ。よく考えてくれていい。」

「スケジュール?ああ・・・そうだな。ニューヨークに行くんだったな。」

「わかった。じゃあな。」

ジウンは相手が切ったことを耳で確認すると、はぁ・・・っと大きくため息をついた。

(考えさせてくれ・・・か)

(断られたも同然だな)

彼と話したのは大した時間ではなかったのに、ずっと緊張しっぱなしでノドが乾いていることにジウンは気づいた。

(二人っきりでヨーロッパに旅に出る・・・)

(俺とお前・・・二人っきりで)

(お前にこんな告白をした俺と)

(それがどういう意味だかわかるよな)

(しかもあいつ、俺の気持ち 知ってたって言いやがった)

(了解!・・・なんて言えるわけないか・・・)

ぷっと吹き出してジウンはソファに横になると思い切り足を伸ばした。

(まぁ いい。とにかく賽は投げられた)

さっきまで高まっていた心臓の鼓動が少しずつ落ち着いてくる。

(俺があいつと一緒に旅に出て)
(おいしいものを食べて、あいつの演技論聞いてやって)
(俺の次回作の映画の構想を話して)
(そうそう、あいつが好きそうなマルシェにも行って)
(そうだな、映画見たり、芝居見たり)
(足を棒にしていろんなとこ行って)
(そしてホテルに戻って・・・)

ジウンはそこまで考えると、急に体を起こし、
シャワーを浴びるためにバスルームに向かった。


翌朝。

かすかな携帯の着信音で目が覚めたジウンは寝ぼけ眼で携帯に手を伸ばす。
確認するとメールが一通来ている。

「B」からだ。

ジウンはソファに正座しながらそれを読んだ。
携帯のメールにはほんの数行こう書かれていた。

「半分承諾しました。」
「半分・・・って言うのは条件つきです。」
「明日からニューヨークなんで、もしよかったら今日夕食を一緒にどうですか?」

ジウンはそのメールを読みながら複雑な心境に陥っていた。

「条件・・・?条件?」

メール画面をみつめているとすぐにもう一通のメールが来た。

「B」からだ。

「監督、条件伝えるの、忘れました。」
「キングサイズのWベッド、ちゃんと用意してもらって下さい」
「じゃ、夕方会いましょう。」

ジウンはカーッと顔が赤くなってくるのを感じた。

(ピョホナ・・・)
(お前・・・これ、あまりにもストレートだよ)
(全く お前って奴は・・・)
(まさか、軽いジョークで・・・とか言わないよな)

冗談なのか本気なのかわからないビョンホンのメールを何度も読み返す。
しかしジウンは最近感じたことのないほどの幸せな思いが胸を満たしていることを感じた。
壁に掛けられているスケジュール表をチェックすると、9月の第一週に入っていた いくつかの予定に×を入れ、拳を握った。
そして叫んだ。

「アッサー!!」


続きはこちら~
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by juno0712 | 2008-09-15 02:10 | 創作・告白

告白2

告白その2


キム・ジウンは次回作の打ち合わせでパリに来ていた。
CD空港に到着したのが午後2時。
4時からの打ち合わせのため、ジウンは指定されていた場所、パリの事務所に出向いた。
打ち合わせが長引くことも想定されたため、同行したビョンホンに好きなように時間を潰していいと伝え、事務所の近く、オペラ座の近くで別れた。

別れ際、ビョンホンは少し心細そうな顔をしたように見えた。
「撮影で来たことのあるパリの裏町をちょっと歩いてみる」と言っていた。


長い打ち合わせが終わった。
ホテルまでのタクシーに乗るとジウンは携帯電話を取り出した。
案の定ビョンホンからメールが入っている。

「疲れました。これからホテルに帰って寝ます。キーはフロントに預けておきます。俺を起こさないで下さい。」

ジウンはそのメールを読んでぷっと小さく笑った。

メールをジウンに送信した時間は17時20分。

時差のせいもあるだろうが、一人よりもいつも複数で行動して、お膳立てのしてある旅に慣れている彼が、一人でどうやって時間を潰していたのか・・・
外国に来ている開放感も一人ではきっと飽きてしまってどうせどこかのカフェでぼんやり過ごしていたんじゃないのか?
そう考えるだけでいとおしくて笑みがこぼれる。

(ゆっくり寝てろ。今日の夜の為に。)

ジウンはタクシーの中から、まだ完全に帳の下りていないパリの夜景を見ながらそう思った。
ホテルに着くとフロントでカードキーを受け取る。
ビョンホンの希望をすべて取り入れて部屋はスウイートルームにし、キングサイズのダブルベッドを手配してあった。

華美なホテルではなく、モダンでシックなそのホテルは、実はチョン・ウソンと来たことがある。
今回のカンヌ映画祭のあとにコーディネーターが用意してくれたホテルだった。
もちろんウソンとは別々の部屋だったが、その部屋のインテリアのセンス、上質なサービスが気に入って、いつかビョンホンと一緒にパリに来ることがあったらこのホテルに泊まろうと思ったのだった。

2507号室。

部屋に入る前に、ジウンは一瞬考えた。

(ピョホナ。今日は俺の思いを全部伝える。言葉だけじゃなく、体でも。)
(いつもの三枚目の俺は封印だ。)
(覚悟しとけよ・・・)

カードキーを差し入れて静かにドアを開けた。
少し進むと リビングスペースがあり、そのテーブルの上にビョンホンの黒いバッグ、デジカメ、マルシェで買ったのか?紙袋に入っている食べかけの葡萄、それらが無造作に置いてあった。
灰皿には二本のタバコの吸殻。

その右側に寝室のドアがあり、ジウンはそっとそのドアを開ける。
空調の効いたその寝室でベッドサイドの小さなあかりをつけたまま、ビョンホンは大きなベッドの真ん中ですやすやと寝息を立てていた。

ジウンはベッドの横に回って彼の寝顔をまじまじとみつめた。
アバクロの濃紺のTシャツから覗くたくましい二の腕。
キャメルのチノクロスのハーフパンツから伸びた左右の下肢を無造作に重ねて顔を横にして熟睡していた。
ベッドの脇にソックスがあっちこっちに脱ぎ捨てられているのが笑える。
顔を覗き込むとビョンホンは軽くイビキをかいていた。

(疲れたんだな)
(シャワーも浴びないで寝ちゃったか・・・)
(・・・このWベッド見て・・・お前 どう思った?)

無防備な彼の寝顔を見ながらジウンは笑みがこぼれてどうしようもなかった。

「うう・・・ん・・・」
ジウンが冷たくなった彼の足を触り、毛布をかけてあげようと彼の体をそっと動かそうとしたときにビョンホンが目を覚ました。

「悪いな!起こしたか?」

ビョンホンは薄暗い部屋の中でベッドの側に立つジウンを見るとねぼこまなこで
「俺、どれくらい寝てました?今 何時ですか?」と言った。

「もうすぐ 9時だ」
「メシ 食ってないだろ?食べに行くか?それとも面倒ならルームサービス頼むか?」

疲れた顔をしたビョンホンの顔を見て、ジウンは彼の返事を聞く前にルームサービスを頼むために寝室からオーダーをした。
ゆっくりとビョンホンはベッドから体を起こすと大きく伸びをした。

「監督。ワインだけは仕入れて来ましたよ。けっこういいのが手に入ったんで。」
その言葉に嬉しくなってジウンは、ビョンホンを放置した時間の分、ちゃんと「借り」を返そうと思った。

リビングスペースの低めのテーブルに先ほど届いたローストビーフのサンドイッチとチーズ、数種の野菜にアンチョビのディップが並んでいる。

シャワーをあびてさっぱりとしたビョンホンは上機嫌で備え付けの冷蔵庫からワインを取り出した。
石鹸の香りをプンプンさせてビョンホンはバスローブをゆったりとはおってジウンの前に腰を下ろす。
ジウンはその胸元から覗く赤銅色の厚い胸板をみつめ、ドキッとした。

「へぇ・・・お前の好きな赤ワインね。ワイン探してパリをうろついていたのか?」
「退屈だっただろ?他に何してた?」

ビョンホンはおなかがすいているのか目の前のサンドイッチをぱくぱく口に運び、ジウンの注いでくれたワインを飲んでいる。
口の中いっぱいにサンドイッチを詰め込んだまま、ビョンホンは言った。

「たまたま、ワインの専門店をみつけて、ラベル見てたら、英語ですっごく親切に教えてくれた女の子がいて・・・」

ワインを飲むビョンホン。
もちろんジウンの目の奥が鈍く光っていることに気づいていない。

「その子、フランス人なんだけど、ジョルジェットとか言ってたな。26歳で」
「赤ワインで、おいしいのはこれとこれって・・・」
「けっこう それがきれいな子で・・・」
「それでね。俺がMERCI。ってその子に伝えたら・・・聞いてくれます?」
「彼女、一緒にそのワイン飲みたい、って言うんですよ~」
「いや~参った」

ジウンは黙って聞いている。

「どこのホテルに泊まってる?とか あなたはどこの国の人?とか なんか俺のこと気に入ったみたいで、目が素敵とか、そうそう、Tシャツの胸まで触られちゃって!このローストビーフうまいな・・・あ!ワイン お願いします」

ジウンの頭の中で何かがプチっと切れる音がする。

(ピョホナ、お前、俺とパリに何しに来たと思ってる)
(思い知らせてやる)

「そうそう、監督、今日の打ち合わせどうでした?」
二人分のローストビーフサンドをほとんど平らげてビョンホンはアーティチョークにディップをつけながら、邪気の無い顔でそうジウンに尋ねた。

「ああ 先方のプロデューサーもいて、シナリオを詰めて、撮影計画をざっと話して、キャスティングの話もしたし・・・」
「今日のメンツの中に『甘い人生』を絶賛してた男がいたな」
ジウンは淡々と答えた。

ビョンホンは「へぇ・・」とワインを飲みながら聞いている。

「そいつに『甘い人生』のソヌを演った男が今回の旅に同行してるって言ったらぜひ会わせてくれって言われたよ」

「ほんとですか?え・・・?じゃ いつですか?明日?」
興味深そうにビョンホンの目が光る。

「断ったよ」
「ええ?なんで?」

「そいつは仕事上の絡みでお前に興味があるって言ったわけじゃない。」
「男として興味を持ってた」
「俺にはわかる」
「しかも、今回の旅行は一週間の予定がお前の都合でたった4泊になった」
「その初日が打ち合わせ。つまりあと3日しか自由がないだろ」

淡々と、しかしビョンホンの目をじっと見据えてジウンは言う。
「その貴重な3日、これ以上、俺たちの中に第三者が入るなんてごめんだね」

さっき寝室で見たジウンの柔和な顔はなく、射る様に彼をみつめている。

「監督・・・ま、まぁこれから3日もあることだし・・・」

ジウンはその言葉をさえぎるように話を続けた。

「そいつがな・・・帰り際、ソヌをやった俳優は君の恋人か?って聞いたんだ」
「もちろん!って答えてやったさ」

ビョンホンはそれに対してどういう反応をしていいのか困ったような顔をした。

しばらく気まずい沈黙が続くと、ビョンホンはチーズをボードの上で小さく切ってそのナイフの先に刺すとそのまま口に頬りこんだ。

「うまいな・・・このチーズ、監督もどうです?」

ワインを飲みながらジウンは何も言わずにじっとビョンホンをみつめていた。

ビョンホンは観念したように言った。

「監督・・・監督の気持ちはわかってます」
「でも、正直に言って、その・・・男同士の・・・ってのは経験もないし・・・」
「今まで考えたこともなかったから」

「お前、女しか経験ないのか?」

「当たり前ですよ!」

「当たり前?」

「じゃ、男同士ってのはアブノーマルか?」

「い、いえ・・・そういう意味じゃなくて・・・」

「お前、今まで気づかなかっただけなんじゃないか?」
「お前のまわりの男で、きっとお前を俺みたいに特別な気持ちを持ってた奴がいたと思う」

ジウンにそう言われてビョンホンは友人、知人の顔をざっと思い浮かべた。
誰か、自分に友人以上の感情を持っていた奴???
誰も思い浮かべることはできなかった。

「俺と寝るのはいやか?」

「俺はお前と寝たい。ずっと前からそう思ってた」

「監督・・・」

(マジかよ!?)
(そりゃぁ、Wベッドを用意してくれって言ったけど)
(待てよ・・・今更 ザコ寝しましょうって言って納得してもらえんのか?)
(監督のこと、好きだよ。俺だって・・・)
(でも・・・それとこれとは・・・)

ビョンホンは久々の愛の告白、それも女性ではなく、男からのストレートな告白に、
わかってはいたのにこのマジなシーンをどう切り抜ければいいのか動揺してしまった。

「その・・・さっきも言ったけど、俺 どうやったらいいのかわからないし・・・」

「大丈夫だ。俺の言うとおりにしてくれればいいよ」
「俺の演出の通りに動いてくれればいい」

演出・・・そう聞くとビョンホンは撮影中のジウンの演出が執拗で完璧主義なことを思い浮かべた。

ジウンが言った。

「演出と言っても演技してもらっちゃ困るんだ。」
「本気でやってもらわないとな・・・」

タバコの煙を口から吐きながらジウンはビョンホンにそう言った。



次はこちらから~
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by juno0712 | 2008-09-15 02:07 | 創作・告白

告白ラスト

翌朝。
ホテルのロビーを二人で歩きながらビョンホンがジウンに言った。

「今日、どこ行くんでしたっけ?」

「ああ、友人がエイミーワインハウスのパリ公演のチケットを取ってくれたんだ。たしかオペラ座の近くだったと思ったな・・・」

そう言いながらジウンはバッグから地図を取り出した。

「え?ああ RIHAB歌ってる歌手?アル中のリハビリなんかしたくない!ってあれですか?」

「そう。いいよな~あの退廃的な感じ。もう人間として終わってるような女。顔見たらSEXしか思い浮かばないような女。好きなんだよな~」

そう言ってビョンホンに尋ねた。

「お前さ。ああいう退廃的な女とつきあったことある?ないよな~。あの、一日中SEXしてましょう、なんて言う女、お前みたいなおぼっちゃんには無理だろな~」

「はぁ?じゃ 監督はあるんですか?あのタイプの女とつきあったことが?」

「ある」

ジウンは間髪を入れずに答えた。

「え!」とびっくりしているビョンホンにジウンは続けた。

「ズタボロにされたけどな・・・」

二人は顔を見合わせて吹き出した。

(まったくこの監督、面白いよ。プーやってる頃、どんな経験してたんだか)

笑いをこらえながらジウンの開いた地図を一緒になってビョンホンは覗き込んだ。
ホテルの前で立ち止まって、あちこちを見渡しながら 

「じゃ、ここからメトロで・・・」

そう言ってジウンは確認するように地図を指でなぞった。
そして二人で地下鉄の方向を歩き始めた時だった。

「OPPA~!」

振り向くと昨日ワイン専門店で熱心にビョンホンをくどいたジョルジェットが手を振って走ってくるのが見えた。

(OPPA~?)
(OPPAって呼んでくれって言ったのか?お前は?)
そんな目つきでジウンはビョンホンを見た。

「か・監督・・・ち・ちがいますって!」

低い声でビョンホンを威嚇するようにジウンは言った。
「何、動揺してるんだ?お前は?」

ジョルジェットは金髪をなびかせて、豊かな胸を揺らしながら二人の目の前に止まった。

はぁはぁ息を切らし、胸に手をあてて呼吸を整えている。

ジウンは目の前の彼女をじっとみつめた。

(ふ~ん・・・ルノワールの絵みたいな女だな。きれいっちゃ、きれいだが)
(ピョホナ、相変わらずお前の女の趣味って・・・チーズの匂いがプンプンしそうな女じゃないか・・・)

息をはずませながらジョルジェットは愛くるしいブルーの瞳を輝かせながら言った。

「HI! OPPA! You are here! How is Paris? Did you sleep well?」

「Ah・・・Mmm・・・」

ビョンホンの脳裏に昨日のなんとも言えない一夜が思い出されて、しらっと平気な顔をするのに苦労した。

ジョルジェットはジウンの方を向いて手を差し出した。

「Nice to meet you ! I’m Georget Coaquet. Probably, you are his uncle,are’t you? He told me yesterday.」

「親戚のオジサン?」

またジウンはビョンホンをちらっと見る。
ビョンホンは、あたかもグラビア撮影の時に求められるような渋い顔をして 手をジーンズのポケットに突っ込んだままあさっての方を向いて突っ立っている。
ジウンはジョルジェットと握手しながら声を少し低めにして言った。

「Nice to meet you,too, Mademoiselle.
My name is Jee-woon Kim. I’m not his uncle, but lover. OK?」

ぎょっとして彼女はジウンを見る。そして次にゆっくりとビョンホンを見つめた。
ジウンは彼女に向かってこれみよがしにビョンホンの細い腰に手をまわして体を引き寄せた。

(あちゃー・・・)

ジョルジェットはフランス語で何かビョンホンにまくし立てていたが、何て言っているのかさっぱり理解できなかった。
そして最後に彼女はキッとビョンホンを睨むとくるっと反対を向いて足早に去って行った。 
ビョンホンは彼女が遠ざかるのを見ながら残念そうに言った。

「あぁぁぁぁ俺の恋人候補がぁぁぁぁ・・・」

「監督ひどいですよ~」

「何がひどい。まったくお前は暇さえあればこうやって!この旅の間はお前は俺のもんだって言ったろ?女に目移りしたらオシオキするぞ!わかってんのか?」

オシオキ・・・と言われて途端に下半身がうずく自分にビョンホンはあせりを感じた。

「監督ぅ・・・ 昨日は監督のこと、もしかしてマジで好きになるかも・・・って思ったのもウソじゃないですよ。でもね。それってつまり・・・結婚も遠のくってことですよね?」
「ましてこんなふうにイチイチ邪魔されちゃったら・・・」
ぶつぶつ口を尖らすビョンホンにジウンは大きく首を振って言った。

「いい、いい!お前はしばらく結婚なんか考えないで仕事だけしてればいい! たまにムラムラしたら俺が抱いてやる! お前が相手ならいくらだって抱いてやる! だいたい変な女とつきあってスキャンダルになったら、その後処理する奴らだって大変なんだぞ?
俺にしとけばその辺の心配もいらないじゃないか」

そういってビョンホンの細腰をさわさわと撫で付けている。

(なんつぅ 強引な理屈だよ・・・このオッサンは・・・)

「もう、俺 マジで結婚したいんですから~!それには女性と付きあってみなくちゃすすまないでしょうが~!」

ブツブツ文句を言いながら、自分の腰に回されたジウンの手を迷惑そうに見る。

ジウンはビョンホンが不満たらたらつぶやいていようが 平気な顔だ。
それどころかたまにビョンホンを見てはぶっと吹き出したりしている。

茶化されているのか本気なのか・・・
(監督と愛し合う俺???)
どうも監督を自分の恋人と認めるには抵抗があった。
昨日のことだってまだ夢の中の出来事のようだ。
愛を告白した監督と告白された俳優・・・
そのココロは?
ただのホモダチ?

「いや・・・」
ビョンホンはそれを否定した。

そして観念したように思いなおした。

(しばらくの間、この強引で自称テクニシャンな監督に執着されるのも悪くないかもしれないな・・・)

「まっこの微妙な関係を楽しもう・・・みたいな?」

ビョンホンはジウンの方を見てそう言った。

「お♪ そうそうO型は思い悩んじゃいかん!」

「すべてを柔軟に受け入れよ!」

そう言いながら 二人で顔を見合わせて吹き出した。
ゲラゲラ笑いながら二人はお互いの腰に手を回してパリの街に消えていった。

誰が見ても二人が特別な関係である事がわかる。
やれやれ・・・二人にノーマルな「春」が来るのはまだまだ遠い先のようだ。




THE END


完読感謝いたします。(完読ってのは御幣がありますが)

それにしても・・・いつも思ってますが、ビョンホンのあのまなざし、やんちゃぼうずのようなかわいらしさ、はたまた美しい顔立ち・・・

そんな彼に堕ちるのは・・・女性だけではないはず・・・ですよね?

ましてジウンさんは強烈なビョンホンLOVER!であってほしいわ。いえ、そうでしょう。きっと。

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ジウン監督!またビョンホンと映画作ってね~~~♪
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by juno0712 | 2008-09-15 02:03 | 創作・告白

日々の徒然にも脱力目線であれこれと。そしてびょんほん♪


by juno0712