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観たり、読んだり、書いたり・・・の続き

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映画の話です。

「美人図」

先日 新宿シネマートで観てきました。
女であることを隠して天才絵師として生きたシンユンボクと鏡職人カンムの切ない恋。
師匠の報われない想い。
時代劇って面白いです。




この時代・・・18世紀らしい(笑)

朝鮮にはこういった絵師達が王様に手厚く保護されていたんですね。
もちろん印刷技術もない、写真もない。
この絵師達の書くものが時代をあらわし、後世に残るわけですから。

絵師達はもちろん絵画用の筆というより、ほとんど書道の筆を使ってすっすっと滑らかな線を引き、
格調高い絵を描いていく。
ユンボクは女でありながら、そこらの男の絵師には負けません。
筆の持ち方、筆の運び、描かれる美しい線、描きあがる美しい風景画、人物画
その絵ができる様を見ているのもとても面白いです。

しかし!!この映画全編を通して描かれているのは
いつの時代も人は(男は)秘めた男女の営み(SEX)に並々ならぬ関心があったってことです。
ユンボクの描くリアルな春画を大事そうにみつめながら「これ見て妻とがんばる」って言う男。
今で言えばハードなAVでしょうね。
そしてユンボクが隠れて見に行った遊郭のストリップショーではなんと女と女が様々な体位を観客達の前で見せるのです。
ユンボクはそれを夢中になってながめてます。
本当にず~~~~っと昔の時代からおそらく人間が二人に分かれてから、人はSEXの快楽に抗えないものを感じていたってことです。
しかもこの時代、生殖以外の「快楽」に関しては相当抑圧されてきたわけですよね。
天才的な絵の才能があるユンボクは、けして王様の管理する絵師達の説教めいた絵には飽き足らなかったのです。
秘めやかな睦言を描き、その中に人間の生を感じ取る彼女(彼か?)
この時代に収まりきれない自由な精神の持ち主のユンボクがずっと隠していた自分の「女」を素直にカンム(キムナムギル)にさらけ出すのはごく自然なことでした。

ユンボクは一言で言えばこの時代には速すぎた絵描きでした。
少しまえでも、「芸術か、わいせつか」と騒がれた映画があったように、
ユンボクの心のままに描いた絵はお偉い師匠たち見れば下品で、けして絵師達が見習ってはいけないもの。

でも、彼女は天才的なテクニックを持ちながら、とおり一遍の訓話めいた絵よりも日常の生き生きとした風景を描きたいと思い、カンムに連れられて様々な市井の人々の日常や、覗き見するような睦言を描きます。

自分の心に正直に生きる・・・
やろうと思えば今では当たり前のようにできることが、この時代はけしてやってはいけなかった。
分をわきまえ、芽生えた感情も押し殺し、自分が美しいと思う光景に目をつぶらなくてはいけなかった。
ユンボクの自由さがまわりを翻弄させてしまうんですよね。
そして結果的には不幸を・・・
私は、ここは、カンムと駆け落ちする・・・んじゃなくて、押しとどまってほしかったわ~
ユンボクは男の振りをして絵師になっていたわけだけど、
彼女の生来の自由な精神のスイッチを押す人を待っていて、それを押したのがカンムだったんですが
秘する恋の辛さもなく、新しい世界が楽しくて楽しくてしょうがない。
そこがイマイチ、私がユンボクOKになれないところですね。
葛藤がないのよ。彼女には。
なぜ、自分が男としていき続けなくてはいけなかったという負い目(理由があるのです)も感じられなかったんですよね~

彼女の自由な魂を妨げるものは何もなかったのかもしれない。
カンムとの愛はユンボクの本性をさらけ出してしまったんですね~

カンム(キムナムギル)との官能的なシーンは本当に女性向けに美しく描かれています。
はじめて男に抱かれるユンボクは、恥じらい、というよりも幸せな表情をしていました。
そしてすごく自然にカンムと体をつなげます。
(とても初めてとはおもえませんでしたね(笑))

サンファジョムで超リアルなガチンコのまぐあいを表現していたとしたら
これは紗がかかっている中での美しいSEX・・・リアルさもちょうどいい具合でした(笑)

ユンボクとカンムの愛は結果は不幸だけれども成就したと言えます。
実はこの映画でとても興味深かったのはユンボクの師匠のホンド。
このホンドも最初はユンボクの才能を愛していたんだけど、女と知ったときから、ユンボクを女として愛してしまうのですが、ものすごく嫉妬にさいなまれ、昔ねんごろだった妓女(きーせん)に激情をぶつける。
ここがなかなか、普段抑圧的に生きてるホンドだけに面白かったです。
この妓女もなかなかの女。
師匠がユンボクにほれているのを知って画策するんですけどね。(割愛)

ホンドはユンボクの春画が見つかったときも一生懸命かばい、ユンボクを守ろうとするんですが
それは、師匠の弟子の才能に対しての愛ではなく、めちゃくちゃエゴイスティックな愛。
自分のそばから離さず手元にしっかり置いておきたかったのよね~
ではホンドのそばで何も知らずに絵の修行をしていればユンボクは幸せだったか?
答えはNOですね。
人間として一人の女性として生きることができたユンボクは幸せだったと言える。
私はホンドがかわいそうでした。
ホンドは葛藤しまくってましたから。
美人図のドラマ版「風の絵師」は師匠役がパクシニャンなんだけど、このホンド役・・・パクシニャンで見たかった~~~!!!

ホンドはもういい年だし、立場もわきまえてるから、ガマンガマンガマン・・・だったけれども
最後は結局 カンムに毒矢を放ってしまいました。

誰かを愛すると誰かが傷つく・・・ユンボク、カンム、ホンド、妓女・・・
嫉妬がもたらす悲劇でした。

ブロ友ご推薦のナムギル君、素敵でした。
悪い男のキャラが似合うということですが、カンムのような役もはまってました。
この映画の中ではそれほど強いキャラじゃないですが、エロティックなシーンの似合う俳優です。

スクリーンで見ると、時代劇って本当に素敵です!!

あ!!書くの忘れてました。
妓女って、なんであんなアバンギャルドなヘアスタイルなんだろう・・・
アシンメトリー(非対称)なんですよね~
すごく不思議だわ~
建築だってなんだってシンメトリーなのにね~
ドラマ見ているといつも不思議だったんですよね。
かえってセンスを感じますけどね(笑)
妓女独特のヘアスタイルなのかな?
あんなにモリモリで、首が凝ったでしょうね~(笑)

ヘンなオチですみません。
これ、なかなか面白かったです。


今日は調子いいじゃない!!パソコン君!!

「捨てないでください。ご主人様・・・一生懸命働きますから・・・」
このパソコンからそんな声が聞こえそう(笑)

え~~~次は本の話・・・

また長くなるかもしれないので、UPできるかどうか????

いや~このホンもまたまた面白かったのよね~
by juno0712 | 2010-10-04 22:44 | 映画・ドラマレビュー